火山防災対策の強化を 退避ごう増設や専門家配置 (災害対策特別委員会)
日本共産党の大平喜信委員は11日の衆院災害対策特別委員会で、活発化する火山の防災について質問し、退避ごうの増設や専門家配置の促進などに向けた対策の強化を求めました。
現在、常時観測が必要な47の活火山のうち、噴火時に避難する退避ごうなどがあるのは12だけです。昨年9月の御嶽山噴火の教訓を踏まえ、整備が求められていますが、財源の確保の問題などが障害となりすすんでいません。
大平氏は、「現行の補助金制度は新規設置のみが対象であるため、使いにくさがある」と指摘。老朽化した整備の補修や山小屋の補強などにも使える柔軟な制度にするべきだと求めました。 山谷えり子防災担当相は「秋をめどにガイドラインを作成したい」と述べました。
大平氏はさらに、火山専門家の少なさから、個々の火山に設置されている協議会に、その火山を専門とする専門家が配置されていない問題について質問。「地方任せではなく、国の責務としてとりくむべきだ」と迫ったのに対して、山谷防災相は人材の育成と確保にも努力する考えを表明しました。
衆議院会議録情報 第189回国会 災害対策特別委員会 第5号
○大平委員 日本共産党の大平喜信です。
活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
中央防災会議が設置した火山防災対策推進ワーキンググループの提言を見ますと、一、火山防災対策を推進するための仕組み、二、火山監視観測体制、三、火山防災情報の伝達、四、火山噴火からの適切な避難方策等、五、火山防災教育や火山に関する知識の普及、六、火山研究体制の強化と火山研究者の育成と、昨年の御嶽山噴火災害を踏まえた必要な対策が多方面にわたって指摘をされています。
提言では、その冒頭で、火山災害は発生頻度が小さいため、行政機関においては火山防災専門の職員を配置することが難しく、また、社会一般においては火山に関する知識や理解が必ずしも十分でないという実態、そして、噴火に伴う現象の種類や噴火の規模は多様であることから、火山防災対策を推進するためには、火山ごとに詳細な調査研究に基づいた検討を行う必要があるが、火山研究者の人数は十分でなく、火山防災に資する研究は必ずしも進んでいない、そうした実態を示しながら、結論的に、これらのことは火山防災対策を推進していく上で、必ずしも短期的には解決することができない根幹的な課題となっていると指摘をしています。
火山防災対策は、短期的に解決することができない根幹的な課題を抱えている、この提言の指摘を大臣はどのように受けとめておられますか。御所見をお伺いしたいと思います。
○山谷国務大臣 火山防災対策を推進する上で、必ずしも短期的に解決することができない根幹的な課題として、行政機関における火山防災を専門とする職員の不足、火山に関する詳細な調査研究を行う火山研究者の不足、社会一般における火山に関する知識や理解の不足などが考えられます。
このため、気象庁や文部科学省、その他関係省庁との連携をより強化しまして、職員の火山活動評価力を向上させるための技術研修の実施、プロジェクト研究を組み合わせた人材育成プログラムの構築等による火山研究人材の育成、出前講座や普及啓発パンフレットの活用等による火山地域の学校における実践的な防災教育への支援、旅行業者、交通事業者を通じた旅行者等への防災知識の普及啓発等の取り組みを進めてまいりたいと思います。
また、これら取り組み以外にも、今後、内閣府に速やかに設置する火山防災対策推進検討会議において、必要な施策について議論を進めてまいりたいと考えております。
○大平委員 提言では六つの点から多方面にわたって提起をされていますが、今度の法改正の内容は、全体として警戒避難体制の整備が中心となっています。
今回の提言を取りまとめられた気象庁火山噴火予知連会長の藤井敏嗣東大名誉教授も、ちょうどきのうの毎日新聞の夕刊の記事にありましたが、国は制度を決めるだけではなく、早急に財政支援も含めた対策を講じるべきだと述べておられます。
先ほど大臣からもありました、今後、内閣府に設置される火山防災対策推進検討会議で継続的に検討がされるということも踏まえまして、財政支援を含めた対策も含めて、一つずつ伺っていきたいと思います。
まず、提言の第四、火山噴火からの適切な避難方策等に関連して、退避ごう、退避舎の問題についてお聞きしたいと思います。
消防庁に伺いますが、現在、四十七の常時観測火山の退避ごうや退避舎等のシェルターの設置状況はどうなっているでしょうか。
○室田政府参考人 お答えいたします。
我が国の火山におけます退避ごう、退避舎の設置状況につきましては、御嶽山の噴火を受けまして、昨年十月に緊急調査を行ったところでございます。
それによりますと、常時観測が実施されています全国四十七火山のうち十二火山におきまして、合計百三十三の退避ごう、退避舎が整備されております。
○大平委員 昨年九月の御嶽山の噴火災害では、犠牲者のほとんどは噴石が当たったことによるとされています。
先ほどありましたが、現在、退避ごう、退避舎、いずれかが整備されているもので十二火山、全体の四分の一となっています。四十七全ての火山につくるかどうか、これは議論があるにしても、現状でいいわけではないということははっきりしていると思います。
整備が進んでいない原因として、財源の確保が一つ大きな課題としてあると思います。
退避ごう、退避舎等の整備に関する補助金として、消防庁所管の消防防災施設整備費補助金があります。この間、活火山を抱える地域からの要望もありまして、この補助金の交付対象となる要件として設けられていた下限額、これが撤廃をされました。自治体からは非常に喜ばれていたんですけれども、しかし、その措置は、昨年度、二〇一四年度の補正予算だけで終わってしまいました。せっかくの措置であったにもかかわらず、わずかな期間であったため、この制度を活用した実績は、鹿児島県一県にとどまりました。
消防庁に伺いますが、この下限額撤廃の措置が終わって、今年度の予算の中でこの制度を使って整備をする自治体はどのぐらいあるでしょうか。
○室田政府参考人 委員御指摘のように、地方自治体が行います火山における退避ごう、退避舎の整備につきましては、消防庁所管の消防防災施設整備費補助金を活用することが可能となっております。
平成二十七年度予算におきましては、十勝岳が所在する北海道美瑛町に対して交付することを予定しております。
○大平委員 今年度予算で、わずか一町にとどまっています。
さらにお聞きします。
シェルターは整備されているものの、老朽化が進み、どれだけの大きさの噴石に耐えられるかわからないものもあると聞いています。
現実的に、シェルターを整備しようと思えば、新たにつくるということに加えまして、こうした老朽化したシェルターを補修あるいは改修すること、また、山小屋等の施設を活用するために、その山小屋を補強するということなどが実際には各自治体の皆さんにとっては選択肢として上がると思いますが、先ほど紹介のあった消防防災施設整備費補助金は、こうしたものにも活用できるんでしょうか。
○室田政府参考人 消防防災施設整備費補助金につきましては、新規の施設のみを対象としているものでございまして、既存施設の補修、改修については対象外でございます。
一方で、地方公共団体が単独事業として行います退避ごう、退避舎の整備につきましては、平成二十七年度から新たに地方財政措置の緊急防災・減災事業債を活用することが可能になったところでございますけれども、この場合は、既存施設の補修、改修についても対象となるところでございます。
消防庁といたしましては、これらの財政支援を適切に組み合わせて御活用いただけるよう助言してまいりたいと考えております。
○大平委員 既にあるシェルターの補修や山小屋等の補強というのは使えない、かわりに緊急防災・減災事業債制度がある、そういうお話でしたが、これはあくまでも自治体の借金なんですね。
では、加えて聞くんですけれども、この緊急防災・減災事業債の事業ができてからこれまで、シェルターの補修や山小屋の補強のために活用された実績があるでしょうか。
○室田政府参考人 地方公共団体が活動火山対策避難施設を地域の防災計画に基づきまして地方単独事業として整備する場合、今年度から新たに緊急防災事業債の対象とさせていただきました。
現時点で今年度の具体的な要望は来ておりませんが、今後、地域の実情に応じた検討がなされた上で、必要に応じて活用がなされるものと考えております。
○大平委員 活用の実績はないんですよね。結局、自治体の借金ですから、誰も使おうということにならないわけです。もちろん、財源の問題だけと言うつもりはありませんが、やはり、こういうやり方では、抜本的にシェルターの整備が進んでいくということにはならないのではないかと思います。
今後も、補助金交付の下限額の撤廃の措置を続けることや、先ほどありました、新設だけの適用ではなくて、老朽化したシェルターの補修や改修、また山小屋等の施設を活用するための補強費用への補助制度としてもこの補助金の制度が活用できる、そういうことにすることも含めて検討するべきだということを指摘しておきたいと思います。
提言では、シェルターの整備が進まない原因について、財源確保の課題に加えて、場所、構造、機能など専門的知見が必要なこと、国有地などについては国が整備するといった、設置主体が明確でないこと、関係法令に係る手続に時間を要することなどが指摘をされています。
改めて大臣にお伺いしたいと思うんですが、自治体にとっては、整備したくても、さまざまな困難があり、なかなか簡単には進められないという気持ちがあるんだと思います。関係省庁間のさまざまな連携や調整なども含めて、防災担当大臣の強いイニシアチブが求められていると思いますが、その決意を含めて、改めてお伺いしたいと思います。
○山谷国務大臣 昨年九月の御嶽山噴火では、山小屋等に避難して噴石からの被害を免れた事例も報告されておりまして、シェルターは、噴石等の飛来物から逃れるため一定の効果があると考えております。
一方、関係地方公共団体から、シェルターの設置場所やその構造、機能等に関し参考となる手引の作成を求める声がございまして、火山防災対策推進ワーキンググループの報告書においても、ガイドラインの作成が提言されたところであります。
現在、内閣府においては、活火山における退避ごうの整備等に関する検討ワーキンググループにおいて、シェルター整備のあり方等について検討を進めているところでありまして、ことしの秋を目途にガイドラインを作成、公表したいと考えております。
政府としましては、関係省庁と連携し、必要なシェルターの整備が図られるように支援してまいりたいと考えております。
○大平委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
続いて、提言の第二、観測体制の問題にかかわって質問したいと思います。
御嶽山でも口永良部島の新岳でも、気象庁や大学、研究機関、自治体が設置している地震計などの観測機器が噴火の際に故障をしていたため、観測データが送られていないというケースがあったと聞いています。
気象庁にお伺いしますが、観測機器の維持や管理、点検整備なども防災対策の重要な課題だと私は思いますが、気象庁はこの点についてどのように検討されているのか。また、提言では、気象庁は大学等の観測点の保守、維持等にも協力すべきとされていますが、その点についても、どのような検討が行われているのか、お聞かせください。
○西出政府参考人 気象庁及び大学は、火山活動の監視あるいは学術研究目的で地震計等の観測機器を設置しており、これらは設置した機関がそれぞれ維持管理しております。
気象庁では、二十四時間体制で火山を監視する中で、リアルタイムで機器の動作状況を把握しております。故障を確認した際には、積雪や火山活動の活発化などにより機器の設置場所に立ち入ることができない場合を除き、速やかに職員等が出向いて機器交換などの復旧作業を行います。
大学による観測機器についても、気象庁にデータを提供いただいているものについては、観測データに異常が認められる場合は、各機関にその旨をお伝えしているところです。
また、気象庁職員が機動観測等で現地に出向いた際、故障が発生している大学の観測機器が近隣にある場合には、復旧のため、機器動作状況の確認、報告や電源の入れ直し等、軽微な作業を行うことについて、可能な限り協力することとしております。
○大平委員 大学への、補修、維持等にも協力すべきというのは、私は本当に大賛成なんです。
国立大学では、二〇〇四年度の独立行政法人化以来、年々、運営費交付金が減らされてきました。独法化に伴い、調べてみますと、それぞれの火山における施設の更新や整備にこれまで年間六千万から一億円ほどが順次充てられていたという仕組みも、削減によって消えてしまいました。御嶽山を研究する名古屋大学では、二〇一四年度の運営費交付金が〇四年度比で七%減となり、これまで数年に一度は行っていた観測機器の手当てもできなくなったと聞いています。
こういうところにも運営費交付金の削減が深刻な影響を広げているということを厳しく指摘しておきたいと思います。
さらに質問を続けます。
火山の被害に遭っている自治体、その地域の住民や営業されている皆さんの暮らしとなりわいは非常に深刻な状況であり、さまざまな点での国の支援が求められています。
例えば、火山活動が活発化している桜島では、爆発的噴火が相次ぎ、大きな噴石が弾道を描いて飛散しているほか、小さな噴石は大量の火山灰とともに遠方まで風に流されて降っています。噴火警戒レベルは入山規制の3ですが、降灰の影響は、鹿児島市内など周辺市町へ深刻な影響をもたらしています。
そこで、対策として必要になってくるのが降灰除去事業ですけれども、現行法では、降灰の基準量を超えれば、国がその事業の三分の二以内を補助すると定めています。しかし、その基準量は、連続する二カ月の期間において毎月一回以上降灰があり、一平方メートル当たり千グラム以上であるという非常に実態に見合っていないものであり、地元からも、この採択基準を見直せと強く訴えられています。
大臣にお聞きします。
こうした降灰被害についての現状の御認識と、求められている基準の見直しについての御見解を伺います。
○山谷国務大臣 桜島では活発な火山活動が続いており、桜島周辺地域の本年の平均降灰量は、四月末の時点で一平方メートル当たり約四千三百グラムとなっておりまして、既に四カ月で最近十年間における一年間の平均降灰量と同程度の降灰に見舞われているという状況になっております。
桜島における降灰除去事業は、平成二十一年度以降、鹿児島市、垂水市において毎年補助採択され、国も支援しながら多量の降灰を除去している状況であります。
降灰除去事業は、一市町村の財政力では対応できないほどの多量の降灰があった場合に、市町村が行う降灰の除去に要する費用について、その三分の二以内を国が補助することができるとされており、採択の基準は、活動火山対策特別措置法施行令第一条において、一年間に一平方メートル当たり千グラム以上であること、連続する二月の期間において毎月一回以上降灰があることと規定をされています。委員おっしゃられたとおりでございます。
採択基準は、国と地方の役割分担のもと、政令で定められているものであり、その見直しについては、基準緩和による追加財政支出等の影響も踏まえて、慎重に検討する必要があると認識をしております。
○大平委員 ぜひ、切実に求められている基準の見直しですので、検討していただきたいというふうに思います。
また、箱根町の大涌谷では、観光客が極端に減り、宿泊施設や土産物店、飲食店などから悲鳴が上がっています。私が伺いましたあるお菓子の製造会社の社長さんは、売り上げが減少し、従業員を四割休ませている、東日本大震災のときに計画停電があり、観光客が一時的に減ったが、このときは期間が区切られていたから頑張れた、しかし、今は噴火警戒レベル2の規制解除が、いつ終わるかわからないので、会社を閉じるに閉じられないし、蛇の生殺しに遭ったような状態だとおっしゃっておられました。
大手のホテルでも、書き入れどきの七、八月で何万人という規模でのキャンセルが出ており、一日に数万個売れるという大涌谷の人気商品、温泉卵も、立ち入り規制で売れないとのことです。
地元からは、例えば、気象庁は箱根全体が立ち入り規制対象でないことをもっと伝えてほしいという声や、あるいは、午前中の議論でもありました、セーフティーネット保証制度の適用、雇用調整助成金の条件見直しと対象範囲の拡大などが求められています。
大臣、これらの要望についてもしっかりと耳を傾け、応えていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○山谷国務大臣 今回の大涌谷における火山活動の高まりによる風評被害については、観光庁を初めとする政府として対応に取り組んでおります。私も、地元の皆様からのお声をさまざまお伺いいたしました。
これまでも、私も、閣議後の記者会見等において、噴火した場合の影響は大涌谷周辺とされており、安全のために必要な措置は講じられていること、政府、地元自治体からの情報を注視し、冷静に対応していただきたいことについて、国民の皆様に呼びかけたところであります。
今後も、地域の皆様のお声に耳を傾けつつ、関係省庁と連携して対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○大平委員 幾つか個別の問題を指摘してきましたが、これらの問題はほんの一部にすぎません。まだまだ課題はたくさんあり、対策をとるよう進めていかなければなりません。
冒頭にも触れました、内閣府に設置をする火山防災対策推進検討会議では、実施すべき取り組みを確実に実行するために、必要な具体的な方策の検討を行っていくとしています。
この検討会議では、これまで指摘をしてきました退避ごう、退避舎の設置補助や、観測機器の維持管理のあり方、また、降灰対策や被災者支援などの課題も含め、実質的な火山防災対策のあり方を検証し、必要な見直しを目指していくものということで、大臣、よろしいでしょうか。
○山谷国務大臣 火山防災対策推進ワーキンググループで取りまとめられた最終報告では、火山防災対策の強化の取り組みを確実に実行するため、内閣府に火山防災対策推進検討会議を設置し、引き続き具体的な方策の検討を継続すべきとされたところであります。
これを受けまして、今後設置予定の同会議では、火山の観測研究を行っている機関同士の相互協力、補完や、観測データ共有についての総合調整、火山専門家の火山防災協議会への参加の推進についての調整、火山防災推進のための体制整備の具体的な検討などを重点的に行う予定であります。
御指摘のようなさまざまな個別の課題については、基本的にそれぞれの関係省庁でしっかりと検討、対応すべきものと考えますが、内閣府としても、動向を注視するとともに、必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○大平委員 ぜひ、きょう指摘した点も含めて、さらなる検証と具体的な見直しを進めていけるよう求めたいと思います。
次に、火山防災協議会についてお聞きします。
今度の法案では、協議会に火山の専門家を必須構成員とするとしていますが、現状の火山防災協議会で見ますと、四十七火山のうち、十一の火山で火山の専門家が構成員となっていません。大きな原因として、火山研究者が絶対的に少ないという問題があると思います。実際に火山の観測点の維持管理にも携わり、観測を基盤として火山噴火現象の解明や火山噴火予知研究を実施している火山研究者は約八十人、うち大学の研究者は四十七人と言われています。大学の研究者であれば、教育活動やみずからの研究活動に加えての役割となるわけです。
そもそも、この人員で全ての協議会に参加してもらうことが可能なのでしょうか。どのように火山研究者の皆さんに求められている役割を果たしてもらうようにするのでしょうか。大臣、お聞かせください。
○山谷国務大臣 委員御指摘のとおり、現在、十一の火山防災協議会において、その規約上、火山専門家が構成員として参画していないところでありますが、有珠山など約半数の火山防災協議会においては、これまで、実質上、当該火山を研究している火山専門家から必要に応じ助言等を受けてきたところであります。
残りの約半数の火山において、これまで協議会等に継続的に関与する火山専門家がいない理由は承知しておりませんが、今般の活火山法の改正後、各火山防災協議会は火山専門家を必須構成員として参画させることとなることから、今後、四十七の火山防災協議会の全てについて早急に正式な構成員として位置づけられるよう、内閣府としてしっかりと取り組んでまいります。
具体的には、今後、各火山防災協議会における火山専門家に関するニーズを把握するとともに、地元大学を含めた大学や研究機関の研究者に関する情報収集を行いまして、各火山防災協議会に必要な知見を有する火山専門家が参画されるように調整を行っていくこととしております。
内閣府といたしまして、しっかりと万全の体制ができるように努めてまいります。
○大平委員 ワーキンググループの提言でも、研究者の確保は必ずしも短期的に解決することができない課題としており、そこで、火山研究者とともに、あるいは研究者が確保できるまでの間、気象台が協議会の必須構成員として主導的役割を果たすことが求められているというふうに思います。噴火警戒レベルの設定や避難体制の構築に向けて、専門的知見も求められているというふうに思います。
ただ、提言でも指摘されているとおり、火山活動の評価をより的確に行うことのできる人材が必ずしも十分でないということに加え、御嶽山のある長野県の地元紙、信濃毎日新聞では、地元が求めているのは、火山活動の変化を的確に捉え、警報を発する専門家の目だとして、人の体制の強化について、努力規定ではなく、気象庁の責務としてはっきりうたうべきだと指摘をしています。
大臣、努力義務ではなく、気象庁、国の責務としてはっきり人の体制の強化についてうたうべきだというこの地元の声をどう受けとめるのか、ぜひ御決意、御所見を伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 先ほども申しましたが、今般の法案の改正後、火山専門家を必須構成員として参画していただくことでございますけれども、協議会への参画については、一つの大学等の研究機関や一人の火山専門家に複数の火山の協議会に御参加いただくことによって、全ての火山防災協議会に火山専門家に参画いただくことは可能であると考えておりますが、我が国においては、活火山の数に比べて火山専門家の数が少ないのが現状でございます。
改正案においては、国及び地方公共団体は、火山現象に関し専門的な知識または技術を有する人材の育成及び確保に努めなければならないことを法律上明記したところでありまして、国は、火山防災対策を万全なものとするため、火山専門家の確保の必要性を十分に認識しております。
このため、今後、早急に内閣府に火山防災対策推進検討会議を設置して、必要な施策について議論することとしておりまして、この議論の結果を踏まえて、関係省庁と連携の上、火山専門家の育成、確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○大平委員 藤井東大名誉教授が毎日新聞のインタビューの中で、国立の観測研究機関を確立し、そこの研究者たちが火山を常に見張り、必要があれば現場に行く仕組みが必要と指摘をされています。これらの声にも応えることを含め、国の責任をしっかり果たしていくことを求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。