国会質問

2017年07月07日

土砂災害調査の遅れを指摘 対策求める(6月9日災害対策特別委員会)

衆議院会議録情報 第193回国会 災害対策特別委員会 第4号

○大平委員 日本共産党の大平喜信です。
 七十人を超えるとうとい命を奪った、私の地元でもあります広島の豪雨土砂災害から、再来月でもうすぐ三年がたとうとしております。
 先日、中国地方も梅雨入りをしまして、被災地域を初め、多くの住民の皆さんが引き続く不安の声を寄せておられます。今こそ行政はこの声に応えなければならない、そんな決意できょうは質疑に立たせていただきます。大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。
 先月末に、広島県の国への予算要望の説明会に私は参加をしまして、県知事からのお話を伺いました。あの災害の最大の教訓の一つであった土砂災害の危険地域の危険箇所の基礎調査、それから警戒区域指定、この推進に今なお大変御苦労されている、こういうお話を伺いました。
 最初に、確認ですけれども、最新の数字、昨年度末の時点になるんでしょうか、広島県とまた全国の土砂災害危険箇所の基礎調査の完了ぐあい、完了率はどうなっているか、教えていただけますか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 土砂災害警戒区域の全国総区域数の推計値は約六十七万区域となっておりますが、このうち、平成二十九年四月末現在、基礎調査については約五十三万三千区域、約八〇%が完了しております。
 また、広島県の総区域数の推計値は約五万区域となっておりますが、このうち、平成二十九年四月末現在、基礎調査につきましては約二万一千区域、約四二%が完了しているところでございます。
○大平委員 昨年の臨時国会の本委員会でも、私、この問題を質疑しました。一昨年、二〇一五年の三月末時点での広島県の警戒区域の基礎調査完了率、そのときの御答弁で、五四%、全国の平均が七四%とお聞きをいたしました。全国は、七四%から先ほどありました八〇%へと前進をしている。しかし、広島県は、一昨年度末の五四%からことし四月末時点で四二%へと、これは基礎調査の完了率がむしろ後退をしてしまっているんですね。
 ちょっと疑問なんですけれども、これはどういう理由でそうなっているのか、教えていただけますか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 土砂災害警戒区域の全国総区域数でございますけれども、これは、各年の調査によりまして推計値が調査でふえていくということがございまして、分母がふえている状況がある中で調査をして、トータルとして、場合によっては完了率が低くなるという場合もあるということでございます。
○大平委員 基礎調査を進める中で新たな危険箇所の発見がある、そんな御答弁だったかなと思いますが、これは、広島県以外にそういう県はあるかどうかというのは、局長、わかるでしょうか。通告していないのであれですけれども、もしわかれば教えていただけますか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 広島県では先ほど申し上げた状況でございますが、広島県以外にもそういう例があるというふうには聞いております。
 ただ、ちょっと、他の県の詳細についてはただいまデータを持ち合わせておりません。
○大平委員 この警戒区域指定の大前提となる危険箇所の基礎調査を一日も早く終えるということが非常に重要になっております。この間の経過を聞いておりまして、広島県は、来年度末、来年度中にこの基礎調査を完了する、こういう目標を立てているわけですけれども、本当にこの目標どおりに完了することができるのかと、非常に危惧をしております。
 広島県は、先ほどありましたとおり土砂災害の危険箇所が約五万カ所と、少ない県と比べれば桁が一つ違う、全国一この危険箇所が多い県であります。土砂災害防止法が制定をされたのも、またこの法律が改正をされたのも、この広島県で起きた土砂災害がきっかけとなった、そういう県であります。
 規模の問題でも、あるいはいろいろ地理的な条件の問題、あるいは歴史的経過を見ても、特別な困難を抱えているこの広島県、おくれをとっている広島県に対し、私は、やはり、この基礎調査のスピードを加速させるためにも、従来の国の枠組みにとどまらない支援が必要だというふうに思いますし、広島県もそれを切望しているというお話も伺いました。
 改めて、政務官、補助率の引き上げなどを含めて、ぜひこの問題、検討、具体化をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○根本大臣政務官 平成二十六年の広島市での土砂災害を契機に土砂災害防止法が改正されたことを踏まえて、全ての都道府県において平成三十一年度までに基礎調査を完了させる目標が設定をされました。
 国土交通省といたしましては、基礎調査の促進のため、平成二十七年度より、基礎調査の経費に対し防災・安全交付金を優先的に配分するための制度を創設し、積極的に支援をしているところであります。
 国費率の引き上げについてもお尋ねがありましたが、現行制度のもと、既に基礎調査が完了した自治体とのバランスも踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。
 今後とも、基礎調査の完了目標が達成できるよう、防災・安全交付金の活用を通じ、都道府県をしっかりと支援し、基礎調査及び区域指定の促進を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○大平委員 広島県の危険箇所の推定値が約五万件、今調査が完了しているのが二万一千件というお話、およそ約三万件残っている。そして、昨年度末からこの四月末時点ですか、一年と一カ月の間におよそ二千カ所から三千カ所程度の基礎調査の完了、これが本当に来年度までで終わるのかと。特別な困難を抱えている広島県だということを再度強調したいと思うんですね。
 政務官、他の、調査を終えられた自治体とのバランスというお話をされました。地理的問題や困難な条件があるということをむしろ度外視して、横並びに、同じように機械的に措置をするという、このことの方が本当に公平なのかと、私は問題提起したいというふうに思うんですね。
 国交省自身も、二〇一五年の一月十六日付国交省告示第三十五号、ここで、国交大臣名で、土砂災害防止対策の基本指針の変更を行っております。何と書いてあるか。「基礎調査の計画的かつ迅速な実施」という項目の中で、基礎調査とその早期完了の重要性を述べた上で、「国は、都道府県が目標を達成できるよう、財政面、技術面などの支援を行うものとする。」これは先ほど政務官からあった御答弁だと思います。
 「都道府県は、定期的に調査の進捗状況を国に報告し、国は各都道府県の実施目標及び進捗状況を公表するとともに、遅れている都道府県に対しては理由を確認し、基礎調査の早期完了のため必要な措置を講ずるものとする。」と述べているのであります。おくれた県には、その理由を聞き、必要な措置を講ずると国交省みずからおっしゃっている。当然、広島県、困難な事情を抱え、おくれをとっている広島県に理由を聞いているのかどうかもありますし、必要な措置を講じていただきたい。従来の枠組みじゃない、そういう措置をとっていただきたい。
 重ねて、政務官、お答えいただけますか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
 広島県では、平成二十六年八月の広島市の土砂災害を受けまして、基礎調査等の実施体制を強化するなど、基礎調査及び区域指定の促進に取り組んでいるというふうに聞いております。
 また、広島県では、先ほど申しましたように、二十九年四月末現在、二万一千カ所の基礎調査が完了しておりまして、全国は三十一年度までが基礎調査の完了なんですけれども、三十年度までに基礎調査を完了させると聞いております。
 我々としましては、基礎調査の早期完了に向けまして、防災・安全交付金を優先的に配分するとともに、地方ブロックごとに会議を開催いたしまして、先進県での効果的な取り組み事例の提供を行うなど、広島県を初めといたしまして、そのような都道府県の取り組みを積極的にこれからも支援してまいりたいと考えているところでございます。
○大平委員 いや、全く空虚な答弁だと言わなければならない。
 三万カ所残っており、この一年で実績で見ても、ゼロ一つ少ない、二千カ所から三千カ所しか基礎調査が終わっていないじゃないか、こういうことを示しているのに、目標どおり進むように、こういうことを繰り返して答弁されるわけです。
 ぜひとも、政務官、国交省に重ねて訴えたいと思います。
 あの三年前の被害を決して再び起こしてはならない、この決意で、ぜひとも必要な措置を講ずるよう重ねて求めておきたいというふうに思います。
 この基礎調査のおくれの問題とともに、調査が完了したところでも、その後の区域指定がおくれているという、こうした重要な問題もあります。
 先月、五月の二十六日、総務省は土砂災害対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を発表しました。
 総務省にお伺いします。
 その一番目の、警戒区域等の早期指定の推進について国交省に勧告をしておりますが、その理由、背景について簡潔に御説明ください。
○古市政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの平成二十九年五月に公表しました土砂災害対策に関する行政評価・監視におきましては、土砂災害対策の推進を図る観点から、関係府省、十七都道府県等を調査し、特別警戒区域の指定推進のため、都道府県に対し助言や情報提供を行うことなどを関係府省に対し勧告いたしました。
 御指摘の警戒区域等の指定状況の調査結果としましては、「警戒区域等の指定に当たり関係市町村や住民から理解を得られないこと等により、基礎調査の終了後二年以上経過しても区域指定されていないものが多数みられた。」ところでございます。「これらの区域においては、基礎調査の結果、土砂災害が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる土地とされながら、特に特別警戒区域の指定予定地については、土砂災害防止法に基づく住民等の安全を確保するための開発行為の制限や建築物の構造規制等もされないままの状態が長期継続している状況にある。」という調査結果となったところでございます。
○大平委員 基礎調査の終了後二年以上経過しても区域指定されていないものが多数見られると。特別警戒区域の指定予定地について、開発行為の制限や建築物の構造規制等もされないままの状態が長期継続している状況にある、こういう御指摘でした。
 つまり、特別警戒区域の指定が放置をされているがために、こうした地域で住民の生命または身体に危害が生じるおそれがある、こういう地域で指定がされていないがために、宅地開発などが進められているおそれがある、こういう厳しい警告をしております。
 国交省にこの勧告に対する認識を伺いたい。今の現状、実態をどのように把握されているのか、お伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 特別警戒区域につきましては、一定の土地利用規制を伴うことから、区域指定の内容を住民の方々に丁寧に説明する必要があります。先ほど申し上げました、その一部の地域につきましては指定に時間を要しているところがあるというふうに認識をしております。
 このため、都道府県におきまして、地域を代表する区長を対象とした説明会や、最近ではオープンハウス方式の住民説明会を開催する等の工夫を行い、住民の方々の御理解を得るためのさまざまな取り組みを行っているところです。
 さらに、国土交通省としては、これまでも地方ブロックごとに会議を開催して、先進県での効果的な取り組み事例を提供するなど、都道府県の取り組みを支援しているところでございます。引き続き、都道府県に対しまして必要な助言や情報提供を行ってまいりたいと考えております。
○大平委員 この特別警戒区域の指定のおくれというのは決して曖昧にできない問題、このことは共有しておられるというふうに思います。あの広島の豪雨、土砂災害のあれだけの甚大な被害になってしまった最大の教訓の一つがまさにここにあると。
 総務省の調査の中にもありました砂防学会の「広島市の大規模土砂災害に関する砂防学会緊急調査に基づく提言」の中でも、次のように述べられている。「被災地域の大半は土砂災害防止法の警戒区域等の指定がなされていなかった。土砂災害の危険箇所でありながら、危険度の高い谷の出口付近や谷筋において新しく宅地が造成され人家が増えつつある状況と、それらの人家が激しく被災している状況も今回の災害では多数確認」されていると指摘をされているとおりです。
 国交省の皆さんのこの基本方針の中にも、可及的速やかに指定を行うことが重要だと繰り返し述べられている。市町村との協議、住民への丁寧な説明という先ほど局長の御答弁がありましたが、これは解決するべき課題だということはもう従前からわかっているわけで、本当にこの危機感を共有されているのかということを改めて指摘をしておきたいというふうに思います。
 松本大臣にこの問題を最後にお伺いしたいと思います。
 今度の総務省の調査結果とそれに基づく勧告についての御所見について、また、警戒区域の早期指定の推進など、国交省を初め関係各省に防災大臣として強く働きかけていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 土砂災害対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告におきましては、警戒区域等の早期指定の推進、警戒避難体制の整備、要配慮者利用施設における安全確保対策などを促進するため、地方公共団体に対し、より一層の情報提供や助言を行うように求められたところでございます。
 政府といたしましては、これまでも、土砂災害防止法を改正し、土砂災害警戒区域等に関する基礎調査結果の公表の義務づけ、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成と避難訓練の実施の義務づけなどの対策を進めてまいりました。また、避難勧告等に関するガイドラインを改定し、一層の充実を図ることなどにより、土砂災害対策の充実強化に努めてきたところでございます。加えまして、地方公共団体への周知を図るため、地方ブロック等における研修や説明会を積極的に実施をしております。
 今回のこの勧告は、このような取り組みをさらに推進すべきとの御指摘であると受けとめておりまして、今後とも、政府一体となって、地方公共団体とも連携し、土砂災害対策を推進していきたいと存じます。
○大平委員 広島の豪雨土砂災害は、この区域指定のおくれの問題とともに、避難勧告の発令のおくれや、あるいは土砂災害の防止施設のこうした整備のおくれなど、何重にも政治、行政の責任が問われる、まさに政治災害であった。このような甚大な被害を再び日本のどこでも起こしてはならない、こういう強い決意を持って松本大臣にはぜひ取り組んでいただきたいということを重ねて求めておきたいと思います。
 次に、福祉避難所の問題について引き続き伺いたいと思います。
 この問題も昨年の本委員会で私は取り上げました。要配慮者も含めて、現状では多くの国民にこの福祉避難所の存在が知らされていないという問題があります。
 二〇一三年に内閣府が行った調査で、東日本大震災の避難者に福祉避難所のことを知っていたかということを質問し、一般の人たちでは七六%が知らない、四人に三人以上が知らない、要配慮者の皆さん自身に聞いても六九%の方が知らないと答えております。
 改めて、あの前提になる問題について一つずつお伺い、確認をしたいと思います。
 内閣府が昨年の四月に作成をしました福祉避難所の確保・運営ガイドライン、この冒頭に挙げておられます福祉避難所の対象となる者の把握、自治体に求めている一項目めがまずこの問題。つまり、私たちの町には何人要配慮者の人たちがいるのかをつかんでいる自治体が今どのぐらいあるのかどうか。さらに、二つ目に挙げられている福祉避難所の指定状況について。私たちの町は、発災したときにはこの施設を福祉避難所として使わせてもらうんだ、そう指定をしている、このことを確保している自治体がどのぐらいあるのか。二点についてお伺いしたいと思います。
○加藤(久)政府参考人 お答えいたします。
 内閣府としては、福祉避難所の利用対象者数を把握している自治体の割合までは把握をしていないところでございます。しかしながら、福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、市町村において、福祉避難所の対象となる者の概数や現況等を踏まえ、福祉避難所の指定要件、指定目標を設定することも記載しているところでございます。
 また、福祉避難所の数についてお尋ねがございました。平成二十八年十月一日現在で内閣府が行った全国調査では、回答があった千七百十九市町村の福祉避難所の数は二万百八十五施設であり、約九割の千五百七十二市町村において確保されているというふうに承知をしております。
 内閣府としては、引き続き、福祉避難所の確保が進み、支援を必要としている要配慮者の方々に的確に周知が行われるよう、さまざまな研修等の機会を通じて、市町村向けに公表している取り組み指針やガイドラインの周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
○大平委員 要配慮者の概数を国としてはつかんでいないというお答えでした。
 ことしの三月十五日に、毎日新聞が、全国の県庁所在地を初め百二の自治体に調査をしております。この調査を見てみますと、利用対象者、要配慮者の把握状況について、回答のあった百二自治体のうち、四十六自治体、四五%が把握をしている、五十三自治体、五二%が把握していないと答えている、こういう結果が示されております。
 自治体自身が、我が町には要配慮者がどのぐらいいるのかを把握しなければならない、そういう自覚に立ってもらうということが大事なわけで、伝えているというお話ありましたけれども、その自覚がどこまで進んでいるのかということを、やはり国として、こうしてガイドラインで、第一に概数を把握せよというふうに示しているわけですから、国として、それがどのぐらい進んでいるのかをつかむということは、私は、内閣府、政府の当たり前の責任だというふうに言いたいと思います。
 福祉避難所の指定状況についての御答弁もありました。確保している自治体が全国の九〇%、こういう御答弁でした。この問題、前回の本委員会で同じ質問をしたときには、指定状況が四五%というお答えだったものですから、わずか半年余りで随分ふえたんだなと思っておりましたら、指定ではなく確保だと。つまり、自治体が、災害時に福祉避難所としておたくの施設を使わせてください、こういう協定を結んだところも含めた数として今集約をしている、こういう御答弁でしたね。
 もちろん、一歩前進だというふうには思いますが、やはり、より確実な、実効性あるものにしていくためにも、何より要配慮者の皆さんに、ここが福祉避難所ですから何かあったときには言ってくださいね、こういう周知をしっかりするためにも、指定された福祉避難所を広げていただきたいということを求めておきたいと思います。
 さらに、福祉避難所の問題でお伺いしたいのは、この福祉避難所の人員配置の問題であります。
 内閣府として、福祉避難所を開設した際、つまり、発災後、発災時、福祉避難所を開設した際に、人員をどういうふうに配置せよというふうに求めているでしょうか。このガイドラインの福祉避難所の開設で、配置という点について何と書かれているか、御説明いただけますか。
○加藤(久)政府参考人 お答えいたします。
 福祉避難所の確保・運営ガイドラインにおきましては、福祉避難所は、おおむね十人の要配慮者に一人の生活相談員等を配置すること、その他備品等について記載がしてあるところでございます。
 いずれにしても、福祉避難所の体制をどうするかということは、具体的には、地方公共団体において判断されるものでございますけれども、内閣府としても、地方公共団体には、ガイドラインを踏まえ、平時から取り組みを進めるように、さまざまな機会を通じて促しているところでございます。
    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕
○大平委員 要配慮者のおおむね十人に一人の生活相談員、専門的な知識を持った、そういうスタッフを配置せよということをこのガイドラインでも示しております。
 これも実態はどうか、先ほど御紹介をした毎日新聞の自治体への調査を見てみますと、内閣府の指針どおりに人員を配置できると答えたのは、百二自治体のうち二十四自治体、二三・五%にとどまっております。
 内閣府として、こうした皆さん方が示された人員配置の現状、その準備、確保の状況、実態をどのようにつかんでおられるでしょうか。
○加藤(久)政府参考人 お答えいたします。
 内閣府といたしましては、具体的にはどのように福祉避難所の体制等を確保、準備を進めるかについては地方公共団体の判断において行われるものということでございまして、全国でどのくらい進められているかということについては把握をしてございません。
 私どもといたしましては、まずは指定避難所がしっかりと確保されるということをまず取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
○大平委員 この問題をなぜ私が強調するか。福祉避難所の確保と適正な運営は、地震などの災害からやっとの思いで逃れつつ、しかし、生きること自体に大変な困難を抱えている人たちの、まさに命を守るとりでである。行政にとっても決して曖昧にしてはならない課題だと私は思います。幾らガイドラインでこのようにせよと示しましても、やはりその現場の実態をつかまなければ、実効力ある、実効性のある施策は進まないんじゃないかと思って聞いております。
 この点で、大臣にぜひ、熊本地震で実際に起きた問題をひとつお聞きいただきたいと思います。
 熊本難病・疾病団体協議会の皆さんによれば、水分を多く補給しなければ急速に重度の脱水症状に陥る腎臓の難病を患う児童さんが、熊本地震が発災したとき、一般の避難所に避難をし、家族の皆さんが職員の方たちに我が子の病気のことについて説明をするんですけれども、発災直後の現場の混乱ということがもちろんあったと思いますけれども、担当者からは、我慢しなさいと、結局通常の配給量しかもらえなかったというお話でした。両親が患者会に相談をし、患者会から連絡を受けたこの協議会の人たちが急いで水を提供して、この児童の重症化を何とか免れることができた、こんなお話でした。
 また、同協議会が昨年秋に行った調査も拝見させていただきました。熊本地震を体験して気づいたことについて書いてもらった自由記述欄には、要配慮者の皆さんの切実な声がつづられておりました。
 親子で同じ病気で食事制限中であったため、食事の確保が大変、また、反対に、保健師さんの聞き取りがあってありがたかった、訪問看護ステーションの早い対応にとても助かりました、こうした声も見受けられました。いずれの声からも、専門スタッフが適正に配置されること、その存在と役割が極めて重要であるということがわかる声だなというふうに私は感じました。
 改めて松本大臣に、要配慮者の把握の問題から、福祉避難所の確保の状況、あるいは専門スタッフ配置の準備状況の把握をぜひとも進めていただきたい。現状認識と決意をお伺いしたいと思います。
○秋葉委員長 松本大臣、簡潔にお願いいたします。
○松本国務大臣 福祉避難所については、一般の避難所では生活することが困難な要配慮者が避難所での生活において特別な配慮が受けられるなど、要配慮者の状況に応じて安心して生活ができる体制を整備していくものでありまして、その中で支援人材確保は重要な課題と考えております。
 内閣府といたしましては、昨年四月に運営ガイドラインを策定し、平時の取り組みなくして災害時の緊急対応を行うことは不可能であるとの認識で、市町村を中心として、平時から取り組みを進めていただくよう助言しているところでございます。
 また、人材の確保につきましては、防災基本計画において、「都道府県は、あらかじめ、介護保険施設、障害者支援施設等に対して、災害時に派遣可能な職員数の登録を要請することや、関係団体と災害時の職員派遣協力協定の締結等を行うことにより、介護職員等の派遣体制の整備に努める」ことを記載しております。
 また、ガイドラインにおいても、同様の留意事項について記載をしているところでございまして、内閣府といたしましては、地方公共団体において、これらを参考に、地域の実情に応じて平時から取り組みを進めるよう、さまざまな機会を通じて促してまいりたいと思います。
○大平委員 以上で終わります。ありがとうございました。