国会質問

2017年05月02日

米国いいなりの核兵器禁止条約交渉開始決議反対は許されない(2月8日予算委員会)

衆議院会議録情報 第193回国会 予算委員会 第9号

○大平委員 日本共産党の大平喜信です。被爆地広島の出身です。
 きょうは、広島選出の岸田外務大臣に、核兵器のない世界の実現に向けた安倍政権の姿勢についてお伺いをいたします。
 昨年末、国連総会は、核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議を、賛成百十三カ国、圧倒的多数の賛成で採択いたしました。この二十年、さまざまな核兵器禁止条約を求める決議が採択されてきましたが、今回の決議は、初めて決議の中に締結交渉の期日まで盛り込まれた、核兵器のない世界に向けた画期的な一歩となるものとなりました。
 ところが、日本政府はこの決議案に反対をいたしました。大臣、なぜ反対をしたんでしょうか。
○岸田国務大臣 御指摘の決議ですが、昨年末、国連総会第一委員会で採択をされた後、十二月二十三日、国連総会本会議におきまして採択をされました。そして、御指摘のように、我が国は反対をいたしました。
 我が国の、核兵器のない世界を目指すための基本的な立場は、従来から申し上げておりますように、核兵器の非人道性に対する正確な認識と、そして厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識の上に立って核兵器国と非核兵器国の協力のもとに現実的かつ実践的な取り組みを行っていく、こうしたものであります。
 この立場は従来から一貫しており、そして、この立場に立って御指摘の決議を考えた場合に、厳しい安全保障環境に対する認識、そして核兵器国と非核兵器国の協力という観点から問題があると考えて、反対をいたしました。
 この我が国の考え方、対応につきましては、御指摘の決議に北朝鮮は賛成をした、そしてドイツ、オーストラリアを初めとする、NPDIを初めとするさまざまな枠組みで我が国とともに協力してきた非核兵器国も反対をした、そして核兵器国は一国たりとも賛成をしなかった、こうした各国の投票行動を見ても、妥当性は御理解いただけると考えます。
    〔委員長退席、武藤(容)委員長代理着席〕
○大平委員 では、そこで、お聞きいたします。
 例えば、マレーシアなどがこの二十年提出し続けてきた決議案、国際司法裁判所勧告的意見のフォローアップ、いわゆる核兵器禁止条約に向けた決議案の一つですが、この決議案に日本政府はどういう態度をとってきたのでしょうか。反対したことがありますか。
○岸田国務大臣 御指摘の決議は一九九四年以降毎年出されている決議でありますが、この決議に対しましては、我が国は一貫して棄権をしております。
○大平委員 棄権をしてきたのはどういう理由だったんでしょうか。
○岸田国務大臣 今御指摘いただいたフォローアップ決議については棄権をした、先ほど御指摘いただいた核兵器禁止条約交渉に関する決議には反対をした、この違いを含めて申し上げるならば、まず内容が違います。
 フォローアップ決議の方は、一般論として、核兵器禁止条約の議論を要請するという中身になっています。そして、昨年末採択されました決議につきましては、具体的にことしの三月から核兵器禁止条約交渉を開始する、こういった中身になっています。まずもって中身が違うというのが一つ。
 そしてもう一つは、こうした決議はどういった雰囲気の中で議論されたかということが大変重要であると思っています。フォローアップ決議の方は一九九四年当時から出されている決議ですが、その後、国際社会においては核兵器国と非核兵器国の対立がますます深刻な状況になっています。委員も御案内のとおり、一昨年のNPT運用検討会議においてもこの対立が激化し、成果文書すらまとめられずに閉会をした。大変残念な結果になりました。
 昨今こうした核兵器国と非核兵器国の厳しい対立がますます激化している中にあって、具体的な交渉開始を内容とする決議が昨年提出された。こういったことから、フォローアップ決議については棄権をずっと続けてきた、しかし、今申し上げました危機感に基づいて、昨年末のこの決議については反対をした、こうした対応の違いがあるわけです。
○大平委員 決議の内容が違うことはわかっております。禁止条約締結を求める方向性が同じだということでお伺いをしました。
 それで、いろいろ大臣はおっしゃいましたが、今の答弁にもありましたけれども、これまで日本政府は核兵器国と非核兵器国の橋渡しの役割、まあ協力というお言葉もありました、そのために棄権をしてきた、真ん中の立場にいるかのようなことで棄権をしてきたというふうにありました。
 私たちは、政府のそうした態度自身、被爆国政府にあるまじき態度だということで批判をしてきましたが、それが、今回初めて反対票を投じたわけです。大臣、もはやこの橋渡しの役割すら投げ捨てたということでしょうか。
○岸田国務大臣 先ほど申し上げました我が国の立場は一貫しております。
 私も外務大臣になりましてから、核軍縮・不拡散の議論、さまざまな議論に参加していましたが、非核兵器国の高い理想、これはまことに重要なものであります。しかし一方で、現実に核兵器を持っているのは核兵器国でありますので、非核兵器国の理想に核兵器国が協力しなければ結果が何も出てこない、こういった厳しい現実にも直面してきました。
 こういった中でありますので、核兵器のない世界を目指す唯一の戦争被爆国として、具体的な結果を出すためには核兵器国と非核兵器国の協力をしっかりとしたものにしなければいけない、こういった立場を一貫してとってきました。今回の決議の対応についても、そういった基本的な考えに基づいて現実的な対応をしたということであります。
○大平委員 大臣、これまで立場は一貫している、そういう御答弁でしたが、世論は決してそう見ていないんですよね。
 例えば、広島弁護士会は昨年十二月二十一日の会長声明で、自分たちは被爆地広島にある弁護士会として、平和、核兵器廃絶の問題に長年取り組んできた、こういうふうに述べながら、本来なら共同提案国になるべき立場にありながら、日本政府が反対投票を行ったことについては、国際社会の核廃絶に向けた動きに水を差すものとして極めて遺憾であり、強く抗議すると訴えております。ほかでもない被爆地広島からの痛切な批判であります。
 そこで、今回の決議をめぐってアメリカで重大な動きが起きていた問題について伺いたいと思います。配付資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。
 これは、アメリカが、昨年の国連総会のさなか、同盟国にこの禁止条約に反対するよう求めた書簡が配付をされた、そう報道する新聞記事であります。大臣、この報道は御存じですよね。
○岸田国務大臣 米国がNATOに対して文書を発出したという報道については承知しております。
○大平委員 大臣、今までに一度でも、アメリカからのこういう趣旨の書簡が同盟国に対して送られたことというのがあったんでしょうか。大臣、御存じでしょうか。
○岸田国務大臣 御指摘の点、報道は承知しております。
 ただ、米国からNATOに出された文書がどのようなものであるか、そしてその内容が正しいか、本物であるかなど、我が国の立場として判断することは難しいと思っておりますし、それ以外について、世界各国全てについて確認するすべもありませんので、そういった文書のやりとりについては、我が国の立場から何か申し上げることはできないと思っています。
○大平委員 配付資料一枚目の下段に、中国新聞、これは共同通信の報道ですが、三段落目に次のように書いております。「米国など核保有国が条約反対のロビー活動を展開する中、同盟国に配布した書簡の内容が明らかになるのは初めて。」だ、このように述べております。
 配付資料の二枚目をごらんください。一体どういう内容のものだったのか。
 この二枚目は、国連NGOの核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANがホームページで公開をし、既に世界に出回っているこの書簡の現物の一部であります。ここにその現物の全て、全ページを持ってまいりましたが、この書簡では何と言っているか。核兵器禁止条約に対して激しく非難をした上で、この条約が調印されればアメリカの核戦略が、全世界で手足を縛られ、破綻に追い込まれかねないとの懸念、危機感が詳細につづられております。
 そして、その結論として、三枚目、資料2の2の線を引いたところですが、同盟国に対して、この決議案に単に棄権するのではなくとわざわざ強調し、断固反対の投票をするよう強く求めました。
 大臣、このような書簡やそうした話のやりとりは、日本政府との間でもあったんでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、御指摘のこの文書、資料としてお出しいただいた文書につきましては、これは第三国間の文書のやりとりですので、我が国の立場から、この文書の内容について、あるいは真偽について何か申し上げることはできないと思います。
 そして、我が国に対してこうした文書があったのかどうかということにつきましては、当然のことながら、米国との間においては平素から、核軍縮・不拡散も含めて、さまざまな課題についてしっかりと意思疎通を行っております。ただ、具体的にどんなやりとりをしたかということは、これは従来から申し上げておりますが、外交上のやりとりを明らかにするのは控えなければならないと思っています。
 いずれにせよ、我が国の判断は、我が国が判断をしたわけです。我が国が、先ほど申し上げました一貫した基本的な立場に基づいて、我が国の国益を初めさまざまな観点からこの問題について判断を行い、そして決議においても投票したということであります。
○大平委員 一枚目の共同通信の報道では、先ほどの記述に続いて、次のように報じております。「国連外交筋によると、米国の「核の傘」の下にある日本にも同様の圧力がかかっているといい、こうした動きも踏まえて日本は採決に賛同しない方針を決めたとみられる。」このように報じております。
 大臣、報道でも言われていますように、日本政府にこのアメリカの意向、つまり、単に棄権するだけでなく断固反対せよ、こういう意向が突きつけられて、そして、そうしたアメリカの強い圧力に屈して、まさに言われるがままに、棄権ではなく初めて反対をする、こういう態度をとった、こういうことじゃないですか。
○岸田国務大臣 先ほど申しましたように、具体的な米国とのやりとりは外交上控えなければならないと思いますが、これは、我が国の判断、あくまでも我が国の基本的な立場、考え方に基づいて判断したものであります。
 昨年末の、核兵器禁止条約交渉入りを内容とする決議について、百十三票の賛成があったという御指摘がありましたが、我が国の基本的な立場に基づいた決議も同じ時期に国連に提出しております。我が国の立場に基づいた決議は百六十カ国以上の国が賛成をしている、多くの国から支持をされているというのが現実であります。この基本的な立場に基づいて、我が国は、この御指摘の決議についても、我が国の判断で投票行動を決定したということであります。
○大平委員 大臣は繰り返し我が国独自の判断だとおっしゃられておりますが、みんな、圧力に屈したと感じているんですよ。
 配付資料の三枚目をごらんください。
 これは毎日新聞の報道記事です。こうした日本政府の態度に、大きな批判と怒りの声が上がっております。この新聞記事は、広島県被団協理事長の坪井直さんのインタビューです。
 坪井さんは、オバマ前大統領とも平和公園で握手をされた、大臣もよく御存じの方だというふうに思いますが、次のようにおっしゃっております。三段目以降の線を引っ張ったところですが、「昨年末の交渉開始の決議に、米国は反対した。他の核保有国と同様、日本も追従したとのニュースを見て、「ばかたれ」と口をついて出た。」「被爆国として自立した考えを持たんか」「やっとることは被爆者の思いと反対ばかりじゃ」。
 この痛切な批判、被爆者の声を大臣はどう受けとめられるでしょうか。
○岸田国務大臣 いろいろな御意見があることは承知をしています。
 ただ、我が国は、国際社会の中で唯一の戦争被爆国としてこの議論をリードするためには、我が国の一貫した立場はしっかりと守り続けなければなりません。この立場がぶれてしまっては我が国がこの議論においての信頼性を失ってしまう、こういったことになりかねません。
 我が国の立場は、先ほど申し上げましたように、二つの認識に基づいて核兵器国と非核兵器国の協力のもとに現実的な実践的な取り組みを行っていく、こういったものであり、この立場に基づく決議が百六十カ国以上の多くの国からも支持をされている、こういったことだからこそ、我が国は国際世論の中で核軍縮・不拡散の議論をリードできていると思っています。
 この立場は決して揺らいではならないと思います。この立場に基づいて、現実的なさまざまな決議あるいはさまざまな議論においてしっかりとした判断を行っていきたいと思います。
○大平委員 日本の決議案のことは私は聞いておりません。
 今度の核兵器禁止条約締結交渉開始を決めたこの決議案に反対したことに、日本国民の、被爆地、被爆者の強い怒りと批判の声が上がっている、このことをきちんと受けとめていただきたいと思います。(岸田国務大臣「委員長」と呼ぶ)結構です。
 そんな中で、来月にも締結交渉が行われます。大臣は、昨年十月二十八日の記者会見で、この締結交渉に積極的に参加し、唯一の被爆国として主張すべきことはしっかりと主張していきたいと述べておられます。そこで、どういうスタンスで参加をし、どういう主張をされるのか。
 今度の採択をされた決議には、先ほどの締結交渉の期日が盛り込まれるとともに、項目の十二で次のように述べております。この会議に参加する諸国に対し、最善の努力を尽くして核兵器を禁止し、その全面廃絶に至る法的拘束力ある条約を締結するよう呼びかける、このように書いてあります。
 大臣、こういうスタンスで臨むということでよろしいですか。
○岸田国務大臣 昨年十二月、決議が採択されました。結果として、三月からこの交渉は始まります。
 その際の対応につきましては、まず、今現在、その議論の進め方等詳細について明らかになっていませんので、政府の立場からは、それをまずしっかり確認した上で、政府として責任ある対応を決定しなければならないと思っていますが、ただ、今現在、私自身は、先ほど申し上げました我が国の立場に基づいて、この議論において主張すべきことは主張すべきだと思っています。
 そして、さらに言うならば、先ほどの基本的な立場に加えて、より具体的なものとしては、被爆の実相に触れるということで被爆地の訪問。さらには、こうした核軍縮・不拡散の議論の根底には核兵器国と非核兵器国の信頼感がなければなりません。核兵器国の透明性をしっかりと確保していく、こういった努力も重要だという点。さらには、FMCTの早期交渉開始、あるいはCTBTの早期発効、こういったものについて我が国は主張してきたわけでありますが、こうした従来の我が国の立場に基づいてこうした議論には臨むべきであると考えております。
 いずれにしましても、この対応につきまして、具体的な対応については政府全体として判断をいたします。
○大平委員 ちょっとよくわからなかったんですが、政府全体で判断する、これはまだ決まっていないと。外務大臣御自身は参加しようと思っている。ちょっと理由、意味がわからなかったので、もう一度。
○岸田国務大臣 今おっしゃったように、これはまだ議論の詳細が明らかになっていないので、政府としてはそれを確認してから正式な態度を表明する、これは当然のことだと思いますが、今の段階で、どういった姿勢で議論に参加するのかという御質問をいただきました。
 それに対して、今申し上げましたような基本的なスタンスで我が国は議論を考えるべきではないか、そのようにお答えをさせていただいた次第であります。
○大平委員 この決議は、最善の努力を尽くして核兵器を禁止し、法的拘束力ある条約を締結するよう呼びかけると、参加する国に対して呼びかけております。核軍縮のもろもろ、大臣はおっしゃいましたけれども、この決議の立場をはっきりもう一度お伝えしておきたいというふうに思います。
 最後にもう一つ、トランプ政権についてお聞きしたいと思います。
 トランプ大統領は、就任前の十二月二十二日、ツイッターで、核兵器に関して世界が分別を取り戻すまでは、米国は核戦力を強化、拡大しなければならない、このように述べております。
 そして、就任して一週間後の一月二十七日には、配付資料の四枚目以降に現物をつけました、米軍再建と題する大統領令にトランプ大統領はサインをしました。そしてその次のページ、黄色い線を引いたところですが、ここの中にはっきりと、新しい核戦略の見直しに着手すると書いております。
 岸田大臣、こうしたトランプ政権の核戦略についてどのように見ておられますでしょうか。
○岸田国務大臣 御指摘のように、一月二十七日、トランプ大統領は、米軍の再構築に関する覚書に署名をし、同覚書の中には、国防長官が核体制や弾道ミサイル防衛の見直しを新たに開始する旨記載されている、このことは承知をしております。具体的な見直し作業は今後開始されるものであると承知をしております。ぜひしっかりと注視をしていきたいと考えます。
 そして、我が国が核兵器のない世界を目指す、その際の基本方針は先ほど来再三繰り返しているとおりであります。ぜひ、こうした考え方を米国ともしっかりと共有しながら、核兵器のない世界に向けて努力を続けていきたい、このように思っています。
○大平委員 注視するとの御答弁でした。
 こうしたトランプ氏の言動に対しまして、アメリカの主要メディアを含め各方面から一斉に批判の記事が飛び交いました。
 例えば、ワシントン・ポスト電子版、十二月二十六日付、トランプ氏がツイッターによる核外交を続けるならば、核兵器をめぐる国際間の緊張をさらに高める。ニューヨーク・タイムズ電子版、十二月二十三日付は、たくましさを売りにする軍拡競争に没頭するのではなく、トランプ氏は核兵器の危険を減らすためのロシアとの新しい対話を探求すべきだ。そして、広島を中心とした地方紙中国新聞、一月四日付社説では、「トランプ氏、広島訪問を」という見出しの中、「トランプ政権下では情勢が一変する恐れがある。年の初めに私たちも危機感を共有したい。」「被爆者を含む広島と長崎の訴えに耳を傾け、核兵器がいかに人道に反するかを十分に知ってほしい。核兵器で脅し合うことこそ世界を不安定にしていると気付いてもらいたい。」こういう社説を書きました。
 大臣、改めて、こうした声をどのように受けとめられるでしょうか。
○岸田国務大臣 我が国の立場は一貫しています。そして、米国とも意思疎通を図りながら、核兵器のない世界を実現するために努力を続けていかなければならないと思います。
 そのために、ぜひ、しっかりと意思疎通を図ると同時に、具体的なさまざまな課題について協力し努力を続けていきたいと考えます。
○大平委員 そうした中で、あさって、初めての日米首脳会談が行われます。被爆者の皆さん、被爆地の皆さんはもちろん、多くの市民の皆さんが今度の会談を、そしてトランプ大統領がこうした言動をされている中、核兵器問題に注目しております。
 被爆国政府の外務大臣として、岸田大臣、この問題にどういうスタンスで臨まれるのでしょうか、お答えください。
○岸田国務大臣 日米首脳会談につきましては、首脳会談ですので、私の立場から内容について何か予断をして申し上げるのは控えなければならないと思いますが、米国政府との間においては、今日までも累次にわたって、核兵器のない世界に向けて意思疎通を図ってきました。
 これからも、しっかりと我が国の立場を説明するとともに、核兵器のない世界において、今、核兵器国と非核兵器国の対立が深刻化し、大変な危機感が広がっています、この危機感の中で、現実、何をするべきなのか、しっかりと検討し、そして努力を続けていかなければならない、このように思っております。
    〔武藤(容)委員長代理退席、委員長着席〕
○大平委員 明らかにアメリカでは、オバマ大統領からトランプ大統領にかわって、これまでとは大きく違う危険な動きが起きている、それにもかかわらず、安倍政権の岸田大臣の対応は相変わらず日米同盟第一であり、不変だと。とりわけ人類の生存がかかっているほかでもない核兵器の問題で、こうした姿勢は私は絶対に許されないと訴えたいと思います。
 私の母校広島市立舟入高校の前身、広島市立第一高等女学校は、広島市内の学校で最も多い六百七十六人の原爆犠牲者を出しました。その一人であった妹さんを失ったある女性の手記には、こう書いてありました。きょう、ここにお持ちしました。
 朝は元気に出ていったのに、爆風で、お寺の塀や壁の下敷きになって死んでいった同級生や、水槽の中で片足しか残っていなかった生徒。名もなく、道もなく、青春もなく、勲章ももらわずに、みんな木の葉のように焼かれて消えていった。妹は、この世の中に何も残さずに消えていったままなのです。
 我が国はこうした痛苦の犠牲の上に立っているということを、いま一度岸田大臣に認識していただきたいと思います。今こそ日本政府は、被爆者の願いに応えて、アメリカにもはっきり物を言い、核兵器のない世界の実現へ、その先頭に立つことを重ねて求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。