国会質問

2016年12月10日

戦争法は憲法違反―安部政権こそ立憲主義を理解していない(11月17日憲法審査会)

衆議院会議録情報 第192回国会 憲法審査会 第2号

○大平委員 日本共産党の大平喜信です。
 一年半ぶりの憲法審査会です。私は、一年半前の六月四日、まさにこの場で、三人の憲法学者の方々に集団的自衛権行使容認の閣議決定と安保法制について質問いたしました。私の質問に対し、皆さん、閣議決定は立憲主義に反する、安保法制は憲法違反であると述べられました。今でもきのうのことのように覚えております。
 具体的に述べますと、閣議決定は従来の政府の憲法解釈の基本的な論理におさまっていないであるとか、安保法制が認めた戦闘地域における兵たん活動について、武力行使そのものであり、安保法制は戦争参加法案であるなどといった御発言が参考人からありました。そもそも日米安保は憲法を超えるものではないのだから、日米安保に基づいていても憲法に反することはできないとも述べられています。
 つまり、参考人の皆さんは、それぞれ現憲法に対する立場は違ったと思いますが、集団的自衛権行使容認と安保法制をめぐる安倍内閣の一連の行いは憲法違反、立憲主義違反というのが共通の見解でした。
 これを機に、国民の間で、安保法制は違憲であり、立憲主義に反するという認識が広がり、立場を超えて安保法制反対の声が大きく広がりました。反対する人々が異口同音に叫んだのが、憲法守れ、立憲主義守れであり、これが国民の声です。
 しかし、安倍政権は、この憲法違反の安保法制を数の力で強行させました。
 参考人質疑の後に行われた六月十一日の同審査会で、自民党の高村委員は、参考人の方が意見を言うのは自由だが、国民の安全と平和な暮らしを守るのは憲法学者ではなく我々政治家だという発言をされ、傲慢きわまりないという批判を浴びました。さらに、高村委員は、閣議決定によって内閣で意思を統一して、国会に法案を提出して十分に審議し、そして法律ができれば、それに従って政策を実行していく、これはプロセスとして正当だとも述べられました。
 驚くべき発言です。立憲主義を全く理解していないものです。集団的自衛権行使容認の閣議決定のように、内閣で決め、国会の数の力で押し通せば、憲法違反であろうが何であろうが構わないということをみずから認めたものにほかなりません。
 憲法をないがしろにする安倍政権によってつくられたのが安保法制、いわゆる戦争法です。
 この安保法制に基づき、安倍政権は、一昨日、南スーダンPKOへの自衛隊派遣部隊に駆けつけ警護などの任務を付与することを閣議決定しました。稲田防衛大臣は、現地は安定しているなどとおっしゃられておりますが、南スーダンは内戦状態が続いており、政府軍とPKO部隊による戦闘も起きています。派遣される自衛隊員が現地の人を殺害し、あるいは殺害される危険性が極めて重大になっています。
 日本国憲法の公布から七十年、二度と戦争はしない、争い事は武力によって解決しないという九条の原則を踏みにじる自民党政権の策動と、九条を守れとの日本国民の闘いが幾度も繰り返されてきました。アメリカによる再軍備、自衛隊創設と日米安保の押しつけ、海外への自衛隊出動などのたびに国民の反対の声が上がり、海外で武力行使をさせない、海外の戦闘には参加しないとさせてきたのがこの七十年です。
 しかし、安倍政権が今まさに海外に自衛隊を派兵し、戦闘に加担させようとしていることは極めて重大です。憲法を踏みにじり続けていながら、次は憲法そのものを変えたいなどというのは言語道断であり、国民はこれを許しません。
 歴史の逆戻りを決して許さず、憲法九条に基づく対話による平和外交を追求することこそ今政治がなすべきことであり、憲法改悪など全く必要ないことを申し上げて、私の発言といたします。