島根県隠岐の島で離島問題を実感(民報2020年9月号)
先日、島根県の隠岐の島へ渡りました。本土から60km離れ、松江市からフェリーで2時間かかる文字通りの「離島」です。
最初に伺った知夫村は村民629人(昨年度末時点)という中国地方で一番人口の少ない自治体。村長さんからお話を聞きました。「人口減少を止める」と意気込み、結婚祝金100万円から出産祝金50万円(第三子以降100万円)、新規就農者へ月12万円一年間支給、U・Iターン定住者の新築費用に150万円支援など様々な努力が。その結果、昨年度は出生率が「3」を超え、出生数が死亡数を超える「自然増」も達成。新たに35人定員の村営保育園を建設し、住宅が足らないとのうれしい悲鳴が上がっているとのことでした。
懇談が終わり部屋を出ると、庁舎内は電気が消え人の姿がありません。時計を見れば正午過ぎ、村職員の皆さんお昼休みとのことでした。港と役場の行き来にタクシーを利用しましたが、聞けばタクシーは島内でこの一台のみ。普段、コロナ禍で「密」にならぬようにと気をもむ日々に知夫村のこのゆったりとした時間の流れ、ゆとりのある環境はとても新鮮でした。
もちろん課題も山積です。海士町では島内に診療所が一つあるだけでPCR検査も、感染者の保護もすべて本土に移送せねばならず、たいへんな労力であり緊張の絶えない状況だと聞きました。西ノ島町では航路の運賃、輸送費への補助拡充の要望が、隠岐の島町では「50年に一度」の豪雨が島を襲い大きな被害があったこと、ごみ焼却施設の更新が必要でその間2~3カ月は島で出たゴミを本土まで運んで処理せねばならず、莫大な費用がかかることなど町長さんから伺いました。
「離島」+「コロナ・災害」という困難に国としての特別の支援が必要なこと、同時にコロナ時代に求められる社会像を垣間見た気もし、その点でも国はこうした地域にもっと光を当てるべきです。海士町の副町長の名刺に大きく書かれた「ないものはない」との文字。とても誇らしく輝いて見えました。