エッセイ

2016年08月24日

奨学金の改善に重い腰を上げた安倍政権ーー署名運動が大きな力に(民報2016年8月)

 8月2日に閣議決定された、28兆円規模ともいわれる「経済対策」は、リニア新幹線への巨額の公的資金の投入など、大型公共事業のバラマキが中心の、全体としては決して認められるものではありませんが、その中でも国民の切実な実態を解決する一歩となる内容がいくつかもりこまれています。

 たとえば「給付型奨学金については、平成29年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得、実現する」と書かれることになりました。 給付の在り方や金額などが最終的にどうなるか、引き続き注視が必要ですが、ふりかえれば、今年1月の段階では、わが党の田村智子議員の質問に対して麻生財務大臣は、「給付型奨学金は新たな財政支出であり、公平性の問題からも適切ではない」と言っていたものでした。

 なによりこの間、全国で300万筆を超える署名が集まるなどの大きな世論と運動が力となっています。文科省の担当者いわく、「あの署名がうちの部屋に置かれる。いまどこに置くかと頭を抱えて考えている。たいへんなプレッシャーだ」とのこと。署名の力の大きさ、市民の世論と運動こそが政治を動かすということを、あらためて痛感しました。

 その他にも年金の受給資格年数を25年から10年へと短くさせたり、額はまったく足りませんが介護士・保育士の待遇改善、給与引き上げなども盛り込まれています。もちろん、いずれも不十分であり、さらなる改善、拡充が求められていますし、一方では社会保障制度の連続改悪もねらわれています。一つひとつの大事な成果を確信にもしながら、ひき続き、大いに声をあげ世論と運動を広げていこうではありませんか。