厚労省の「黒い雨」訴訟判決に従わない審査指針案は許されない
このほど厚生労働省が示した「黒い雨」訴訟をふまえた審査指針案は到底受け入れられない。支援する会の「意見書」を読み痛感。そもそも広島高裁判決を受け入れながら内容には従わないという政府の姿勢が大問題。民主主義の否定。「原告と同じような事情にあった方は救済する」との首相談話にももとる。特に疾病要件を盛り込んでいることはありえない。そもそも被爆者援護法は被爆者認定に疾病要件を課していない。なぜ「黒い雨」被爆者だけ課すのか。高裁判決は地裁判決が記した各原告の疾病認定をわざわざ全て削除し、雨を浴びたことをもって被爆者として認定した。骨子案はこの到達を無視している。厚労省自身が地裁判決の控訴理由書の中で「402号通達は被爆者援護法1条3号の解釈規範として機能しえない」「疾患の罹患という結果そのものから(被爆者として)推認することはできない」と述べている。一方で今回は疾患の罹患が被爆者として認めるための要件だという。明らかな二枚舌ではないか。