被爆の実相を伝える著書「占領下の広島」
この夏休みに読んだ本の一つ、『占領下の広島』。この本は原爆投下から1956年の第一回原水爆禁止世界大会開催までの11年間に、広島で占領下、自由な言論が封じられる中、市民や私たちの先輩が核兵器廃絶と被爆者援護の燃えるような願いをかかげてどのようにたたかったのかについての貴重な記録。1950年8月6日福屋前平和集会の筋書き、占領下での赤旗や各種機関紙発行の苦闘、峠三吉をはじめとする反戦平和の文化運動、そして被爆者のうめきや叫び――初めて知る歴史やエピソードばかり、本当に貴重な記録・証言集。原爆投下で焦土となった広島は「75年間草木の一本も生えない」と言われ、被爆者たちは病気と差別と貧困に苦しみ、周りでは原因不明で死んでいく方が後をたたず、次は自分かと常に不安に駆られ、その年のうちに14万人以上が亡くなった。当時の広島市の人口は約42万人、すさまじい被害。街も一人ひとりの心身もまさに焼け野原という状況。そんなたたかうことはおろか、生きることさえ心がおれてしまうような社会情勢の中で、私たちの先輩は徹底した科学の力に基づき決して展望を失わず、国民と共同して不屈にたたかってきた。そんな先輩たちの大奮闘は私たちの誇るべき歴史。どれだけ言葉を重ねても足りないほどの敬意の念を感じずにはおられない。党創立100年のこの年に、日本共産党全体の歴史とたたかいを大いに学ぶとともに、広島の党のそれもしっかりと胸に刻みたい。