エッセイ

2020年10月07日

公助=国の役割放棄の菅政権(民報2020年10月号)

新型コロナウイルスの猛威、そして災害の頻発化・甚大化は自分や家族の力ではどうしようもできないかつてない深刻な事態を各地に巻き起こしています。この間、学生たちへの食料支援ボランティアに参加してきましたが、どこでもバイトや仕送りが減って生活が大変になっているたくさんの学生たちが長蛇の列をつくる光景を目の当たりにします。広島県北部のある地域の拠点病院ではこの4カ月で患者が1万人減り、1億2千万円を超える減収になっていると聞きました。島根県川本町では2年前の豪雨災害に遭った家具の製造工場が、今年の大雨でまた被害に見舞われました。「機械の更新には7千万円かかる」と涙ぐむ社長さんの言葉が今も胸に刺さったままです。

そんな中でも新しく就任した菅首相は「自助・共助・公助」と繰り返し、「自分でできることは自分で。自分でできなくなったら家族や地域で支えて」と言い放ちます。みんな懸命に努力しているし、むしろこの間の自民党政治によって大学の学費が値上げされ、病院からベットが減らされゆとりが奪われ、防災対策のハード整備がどこまでも後回しにされてきた、みんな、そのことによる犠牲以外の何物でもないではありませんか。

2012年に発表された自民党の「日本国憲法改正草案」の「前文」には次のような一文があります。「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」。〝自分のことは自分で〟どころか、国家を守るのも人権の尊重も自分(国民)の任務とされており、さらに人権と横並びで「和」の尊重が掲げられ家族や社会(地域)で助け合え、と。「公助=国の役割」を完全に投げ捨て、すべてを自己責任とする国づくりそのものです。まさに菅首相の本音もここに。こんな政治、許せるはずがありません。だからやっぱり今度の選挙こそは絶対に負けられないのです。